日記

2020-12-11 10:00:00

#91 GOLDEN 015 72℃ 45min「マッシングについて考え直した」

【12/11(金) 新作リリース!!】

 

Batch #91 – GOLDEN 015

「72℃ 45min」

-----Style : Golden Ale

-----ABV : 4.4%

-----IBU : 20

 

 高温、短時間(72℃, 45min)のマッシング(+マッシュアウト)により、CBB Brewing Labのビールにしては珍しく甘味やボディを残したゴールデンエールです。

 マッシングは粉砕した麦芽を湯につけエキスを溶解させる工程です。マッシュの温度やpHの制御様式を変えることでエキス組成も変わり、後々のビールの味わいや泡持ちに影響します。特にエキスの糖分組成は重要で、これがビールの残糖組成につながり、甘味やボディに影響します。このように、マッシングは原理の上では非常に面白く、ブルワーによって考え方はさまざまです。

 などと書きながら、CBB Brewing Labはマッシングに対してかなりおろそかであったことを告白します。

 CBB Brewing Labのビールは良く言えば「キレがある」、悪く言えば「ボディが弱い」とされます。ボディの弱さは初醸造から指摘されていたことで、初めのうちは様々なマッシング方法を試すことで改善に取り組もうとしていました。しかし、なかなか明確な成果は得られずにいました。次第に「キレの強いビールの方が好きだから」として開き直り、緊急の課題とは考えないようになり、マッシング方法も一辺倒になりました。とはいえLabという名目上、というより「いちブルワー」として、なぜマッシングでボディを残せないのかわからないままにしておくのも気持ち悪く、長らく喉がつかえた感じでいました。

 そんなおり、とあるブルワーさんからマッシュの温度が空間的に不均一である可能性を指摘され、それを解消する方法についてアドバイスをもらいました。それはマッシュをポンプで循環させて上層部と下層部の温度勾配をなくすという方法でした。考えてみれば単純なことですが、開き直って一辺倒なマッシングをしていた自分にはなかなか思いつかないことでした。

 この方法を導入し、せっかくならいつもは試さない「72℃ 45min」という、かなり極端にボディを残すマッシングの温度と時間を採用しました。マッシュアウト(マッシュを酵素失活温度まで昇温しエキス組成を固定すること)もポンプ循環で確実に行いました。

 結果、いつものGOLDENと目に見えて違ったのは発酵度です。発酵度は初期比重と最終比重から計算され、もともとの麦汁にあった糖分(発酵可能性糖と非発酵可能性糖の両方)のうち、酵母がどの程度の糖を分解したかを表す指標です。

 うちでの発酵度は、いつものGOLDENでは85%(±2%)あたりですが、今回のGOLDENでは約70%と顕著に下がりました。初期比重は毎回1.048で固定なので、今回のGOLDENでは絶対量でより多くの糖分がビールに残ったということになります。

 これをエキスの糖分組成の観点から解釈すれば、「72℃ 45min」マッシングにより仕込んだ麦汁では非発酵可能性糖の割合が高く、それが酵母に分解されず完成ビールに多く残存したということになります。実際飲んでみても味わいは明確に異なりますが、発酵度という客観的な指標で結果が得られたことは非常に有意義です。もっとも、原因はマッシングだけにあるとは限らないので、引き続き調査は必要ですが。

 ほとんどの方にとっては「飲みやすいゴールデンエール」以上のものではないかもしれません。しかし、自分にとってはこれからさらに表現の幅が広がりそうな醸造でした。