日記

2020-10-23 10:00:00

#83 CPA 008 DIY Fresh Hop Oil 「自作の水蒸気蒸留装置でフレッシュホップから精油を集めて使用」

 

【10/23(金) 新作リリース!!】

 

食品の画像のようです

食品の画像のようです

飲み物、水域の画像のようです

ビールの画像のようです

 

Batch #83 – CPA 008

「DIY Fresh Hop Oil」

-----Style : Fresh Hop American Pale Ale

-----ABV : 5.5%

-----IBU : -

 

 今年も造りました、与謝野産フレッシュホップビール。ビアスタイルは去年と同じく、Cascadeのフレッシュホップを使用したクラシックなアメリカンペールエール。ホップの形状も去年と同じ冷凍非乾燥です。ただし、使用方法が全く違います。水蒸気蒸留装置を自作して、フレッシュホップの精油(エッセンシャルオイル)を抽出し、発酵タンクに注入、という手法です。この手法により苦味と渋味を抑えつつ、力強くワイドな香りを得ることに成功しました。

 水蒸気蒸留の装置や手順については後述します。はっきり言って手間がかかり、決して実用的とは言えませんが、うちのような小規模醸造所だからこそできたトライアルでもあります。滅多に試せる手法ではないので、それだけでも飲んでみる価値はあると思います。

 もちろん、方法としての珍しさだけではなく、引き出せる風味にも面白さがあります。通常の熱麦汁浸漬法では、大量のホップを使用した場合、過度の苦味と渋味の抽出をまぬがれません。一方で水蒸気蒸留法では、大量のホップを使用しても、苦味と渋味は蒸留ポットに残したまま、多量かつ多種の香気成分を獲得することができます。

「多種」の香気成分を獲得する、と述べました。そう、水蒸気蒸留法では、熱麦汁浸漬法では難しい香りの獲得にも期待ができます。

 まずは揮発性の極めて高い香気成分。熱麦汁浸漬法では、沸騰中または沸騰を止めた直後の麦汁に10分前後ホップを浸漬します。揮発性の極めて高い香気成分は、この間に蒸発して失われてしまいます。一方で水蒸気蒸留法では、蒸発した香気成分を即座に液体にして獲得できます。

 さらには長時間の過熱により初めて抽出できる香気成分。この種の成分は、沸騰麦汁とホップの接触を続けることでも獲得できますが、これではやはり苦味がつき過ぎてしまいます。水蒸気蒸留法により、‪一時‬間程度ホップを加熱することで、苦味は蒸留ポットに残したまま、香りだけを獲得できます。

 事実、完成ビールには様々な香りが詰まっています。フレッシュホップらしい芝生やケールのような青々しさと、Cascadeらしい橙のような甘い柑橘感は言わずもがな。驚いたのは、逆にCascadeとは思えないトロピカルかつフローラルな香りで、パンパンに膨れた大きなバラを思わせます。

 これほどの香りがあるにもかかわらず、苦味・渋味は狙い通り最低限に抑えることができました。実際には乾燥ビタリングホップも使用したことと、用意したフレッシュホップのうちの半分を熱麦汁浸漬法でも使用したので、全く苦味がないわけではありません。

 気を付けて欲しいのは、水蒸気蒸留法はホップに熱をかけている点で、ドライホッピングとは異なるということです。得られる香りの質も異なります。本作はドライホッピングのようなジューシーさはありませんが、飽きの来ないクラシックなペールエールらしい香りです。

 繰り返しますが、何度も試せるような手法ではありません。貴重な一杯ですが、とてもドリンカブルに仕上がっています。遠慮せずにたくさん飲んでください!

 

【水蒸気蒸留法】

 本来はホップに限らず、植物一般から精油を取り出すためのとてもオーソドックスな手法です。アランビックと呼ばれる専用の蒸留装置がアロマオイルショップなどで購入できるほか、部品がそろえば自作も可能です。

蒸留装置部品

・圧力鍋

・IHヒーター

・チラーコイル

・冷却用バケツ

・コーネリアスケグ

・ビアライン 2本(うち1本は耐熱のもの)

・ガスライン 1本

手順

・チラーコイル、ビアライン、コーネリアスケグを洗浄・殺菌。コーネリアスケグはCO2置換。

・圧力鍋の蒸気吹出口とチラーコイル、コーネリアスケグの液出口(スピア側)をビアラインで連結。コーネリアスケグのガス注入口には、端の開放されたガスラインを連結し、ケグ内部のガスを逃がせるようにした。

・チラーコイルをバケツに沈めて水道水で連続的に冷却。

・圧力鍋にルプリン腺を露出させたフレッシュホップを鍋の容量分封入して、水を適量加えた。

・圧力鍋の蓋をして加熱。沸騰後‪1時‬間加熱を続けてホップ精油をコーネリアスケグに回収した。

・このとき、純粋な精油だけではなく、微量の精油を含んだ水(芳香水、フローラルウォーター)も同時に回収した。

・残りのホップについても同様の操作を行った。

(うちでは5回に分けてやりました。)

・精油と芳香水の分離は行わなかった。両方とも発酵中にタンクにCO2圧送した。

(芳香水で麦汁が薄まってしまうので初期糖度を高めに取りました。精油を分離する場合は静置して上澄みをすくいます。)