日記

2020-06-19 10:00:00

#67 Hop Schema 013 Oaky Sabro IPA「オークの香りのホップ」

【‪6/19(金) ‬新作リリース!!】

 

*今回のリリースはCRAFT BEER BASE BRANCHからになります。

 

Batch #67 – Hop Schema 013

「Oaky Sabro IPA」

-----Style : IPA

-----ABV : 6.4%

 

 

 主にIPAの醸造に特化したシリーズHop Schemaより、新種ホップSabroを使用した新作です。

 Schema(スキーマ)とは、人が物事をそれであると認識するための知識体系のことを指します。ビール、特にIPAは、その醸造に使用されたホップが持つ情報に溢れています。よってIPAはホップのスキーマとみなすことができ、この考えのもと、Hop Schemaシリーズは展開されています。

 だとすれば、今作は、皆さんの持つホップのスキーマを再編する力があるかもしれません。少なくとも僕は、出来たIPAを非常に特異に感じています。なぜなら、今作を飲んで先行的に脳裏に浮かぶのは、ホップフレーバーを表現するのにありふれた、柑橘やトロピカルフルーツといったイメージではないからです。真っ先に思い浮かぶのは、「オーク」です。

 オークは、ウイスキーやワインの貯蔵・熟成容器に用いられる木材で、オーク樽やオークチップは、接触している酒に様々なフレーバーを与えます。その特徴的なフレーバーの一つに「ココナッツ様フレーバー」があります。ココナッツ様フレーバーを呈す香気成分にはラクトン類という有機化合物が挙げられます。ラクトン類はココナッツにはもちろん、桜の葉や桃、そしてオークにも含まれます。特にオークに含まれるラクトンは、まさにオークラクトンと呼ばれることから、ラクトン及びココナッツ様フレーバーは、オークを特徴つける香り質として重要であることがわかります。

 さて、今作「Oaky Sabro IPA」は、ココナッツもオークも使用していませんが、驚くほどにココナッツ様フレーバーが炸裂しています。どうやらこれは今回使用したSabroホップに由来しています。

 Sabroに限らず、新種ホップを使った最近のIPA(自社他社問わず)から、やけにココナッツ様フレーバーがすることは、前から感じていました。もしや上述のラクトン類がホップにも含まれるのではないかと思って調べたところ、ビール中のラクトンは、ホップやモルトに由来するヒドロキシ脂肪酸をもとに酵母によって主に生成されることがわかりました。Sabroのような新種ホップと、最近の酵母製品、流行のホップ投入手法などの組み合わせが、ラクトンを生成しやすい傾向にあるという可能性が考えられます。

 ココナッツ様フレーバーに加えて、Sabroホップは杉のような強いウッディさも持ち合わせ、これらの香りの組み合わせがさらにオークを彷彿とさせます。バーボンのようなバニラフレーバーすら感じられます。グラスに注いでしばらくすると、なおさらウイスキーのようなニュアンスが強調されます。IPAでは滅多にないことですが、長期熟成による味わいの好ましい変化も期待できそうです。もしボトルで入手された方は、自己責任のもと、半年から一年ほどセラーで熟成させても面白いかもしれません。

 今作が、皆さんの新たなホップ体験になれば幸いです。