日記

2020-05-06 10:00:00

#61 Integration 003 Saaz DryHopped BBB(Belgian Bitter Blonde)「大量のノーブルホップをドライホッピングに使用してみました」

【新作リリース!!】

※今回のリリースはCRAFT BEER BASE本店からになります。ブリューパブgardenは当面の間お休みを頂いておりますので、ご了承下さい。

 

Batch # 61 - Integration 003

「Saaz DryHopped BBB」

(BBB=Belgian Bitter Blond)

---Style: Belgian Style Pale Strong Ale

---ABV: 7.2%

 

Integration(統合)した要素

1.ドイツやチェコの伝統的ピルスナーで主に用いられる「ノーブルホップ」(今作ではSaazホップ)

2.現代のIPA醸造で欠かせないテクニックである「ドライホッピング」

 

以下長文です。お時間あってご興味あればお読み下さい。

 

 今作は非常に実験的なビールとなっております。ヨーロッパの伝統的土着ホップであり、繊細なスパイシーさを持つノーブルホップを、現代的なアメリカンIPAの要領でドライホッピングに使用したベルジャンスタイルエールです。

醸造動機は、いつも以上に好奇心によるところが大きいです。

 ドライホッピングは元々はイギリス発祥とされる醸造技法ですが、現在ではフルーティで力強いフレーバーを持つアメリカンホップやそれを使ったアメリカンIPAに関連づけられることの方が多いですよね。DryHopped〜、と聞いたら、柑橘やトロピカルフルーツの香りを期待する方が多いと思います。

 一方でノーブルホップは、上質なピルスナーを飲めば分かる通り、針葉樹を思わせるような品格ある香りが特徴的です。また、ピルスナーのようなビアスタイルでは、ノーブルホップは麦汁煮沸後半で使用されることが多く、量もIPAのように多くは使いません。

 そこで、前から気になっていたことは、ノーブルホップを発酵中のビールに大量投入したらどのようなフレーバーが得られるのか、ということです。

 ノーブルホップでドライホッピング(以下Noble DH)したビールは存在しないわけではありません。

 昨今まれに見かける「イタリアンピルスナー」という様式のビールはNoble DHを特徴としています。また、一部の伝統的ベルギービールは、Nobleかは不明ですが、それに近いであろう大陸ヨーロッパ産ホップでDHされています。未確認ですが、チェコの醸造の歴史には、SaazでDHしたビールがあってもおかしくないでしょう。

 しかし、これらのビールを実際に飲んでみても、そのフレーバーがNoble DHに由来するものなのかどうか、いまいちピンと来ないのです。繊細さこそがノーブルホップの個性なので、それで正解なのかもしれないですが、詳細なレシピがわからないなので却ってモヤモヤがつのり、これはもう自分でやってみるしかないと思った次第です。

 その他、ノーブルホップとイーストキャラクターの相互作用にも興味があったので、ベルギー酵母を使用し、NEIPA的なDH手法である発酵最盛期中DHを採用しました。因みにDHレートはビール1L当たりに7gとしました。

 完成ビールの味わいは、やはりアメリカンホップでDHしたベルジャンスタイルエールとは大きく異なります。パイナップルのようなフルーティさもありますが、これはホップというよりかは、ベルギー酵母に直接的な由来があると思われます。ホップに直接的に起因すると思われる香りには、フルーティさではなく、テキーラのような青臭さが特徴的に感じられます。しかし、これに関しては、ノーブルホップを大量使用すればこうなるであろうという、想像の範囲内ではあります。

 印象的なのは、クレヨン様の油脂系アロマ。個人的に、Cascadeホップを大量投入したビールから石鹸様のアロマを感じることがありますが、それを強くしたようなアロマです。油脂系アロマの有無とその強度はホップ品種に依存する可能性が示唆されます。

また、マニキュア様のアロマがかなり強く出ました。今回使用したLallemand社Abbaye のようなベルギー酵母からは多かれ少なかれ発生し、それが個性とも言えるアロマですが、今までCBB Brewing Labで同種酵母を使ったビールの中では群を抜いて強いです。これに関しては酵母の添加量や状態による影響が大きいと思われるので、Noble DHに原因を帰すのは早計ですが、他のアメリカンホップでDHしたベルジャンスタイルエールからは感じたことのない強度のマニキュア香です。Noble DHが酵母代謝に影響した可能性も考えられなくはありません。

 以上、陳腐な考察も含む長文で恐縮でした。正直、試みだけでなく、味わいもかなりマニアックです。もし読んで興味を持たれた方は是非体験してみて下さい。

 Integration 003 - Saaz DryHopped BBBは、5/7(木)よりCRAFT BEER BASE本店にて樽生テイクアウトでご提供致します。その後オンラインショップや各店でのボトル商品の販売も進めてまいります。